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ノンデザイナーズ・デザインブックの書評記事のアイキャッチ画像 https://dagtap.com/2021/06/30/review-nondesingers-design-book/

ノンデザイナーズ・デザインブックの書評 長く読まれてる定番の本

ノンデザイナーズ・デザインブックは第四版が現在日本語版でも発売されていますが、名前の通りデザインのことをちょっと詳しく知りたい方への教科書です。

多くのところで入門者にも現役デザイナーにも進められてるように影響力は大きなものです。

この本は有名な4つの基本原則以外も当然書かれていて、フォント利用の説明も豊富で、教育的配慮も行き届いてる点が特徴です。

基本情報・販売先

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]
Robin Williams (著),
米谷 テツヤ (監修, 翻訳)
小原 司 (監修, 翻訳)
吉川 典秀 (翻訳)
2016/6/30


  • 4つの基本原則とは 1) 近接、2) 整列、3) 反復、4) コントラスト です。これは色んな所で説明されてるのでこの記事の説明を割愛します。
  • システム上の限界があるのですが、当然この記事でもデザインの4つの基本原則は考慮しています。

全体的な内容・構成

この本を検索すると多くのところでこの原則について書かれていますし、本の紹介記事でもこの4つの基本原則のみ書かれてるところはよく見かけます。

構成を紹介するのは、この4つの基本原則の紹介を知ればノンデザイナーズ・デザインブックは読まなくてもすべてがわかるような本ではないからです。

コンテンツ

コンテンツは3つのパートに分かれていて

  • Part1 デザインの原則
  • Part2 活字でデザインする
  • Part3 エクストラ

という構成になっています。この中でPart1 の8章のうち6章までは有名な4つの基本原則について書かれています。

ページ全体が257ページで4つの基本原則は85ページ分くらいに割り当てられていますので、全体の1/3になります。

また、7章は「色」についての15ページほど書かれています。主にカラーホイールから、色の関係、ヒュー・シェード・チント、それに関連してくるトーンについて書かれてる。

さらに、印刷物と画面上の扱いの違いCMYK・RGBについて書かれています。色を扱うことの基本的なことや用語の説明が書かれています。

8章は「名刺やチラシ、広告、履歴書などの作成に関するチップス」について書かれた35ページほどの内容です。つまり、より具体的にデザインするときに取り扱う制作物での取り扱いが書かれています。

このパートの最後に15ページほどの日本語デザインについての補足が含まれています。

Part2 は「活字でデザインする」と書かれてるようにフォント・タイポグラフィのことです。4つの章に分かれていて1つの日本語補足がついています。おおよそ70ページほどになります。

大局的な内容は句読点の扱いとか、ダッシュ、enダッシュ、emダッシュの違いなど、欧文を取り扱うときのルールが書かれている。また、豊富な欧文フォントの種類によって使い分けることが明確に書かれています。

主に欧文フォントについてですが、日本語版では当然欧文フォントだけでは足りないと監訳・翻訳者たちが判断したようで、和文フォントの補足の項目が用意されています。

この本では豊富なサンプルデザインが用意されてるのですが、そのサンプルデザイン一つ一つに利用したフォントが丁寧に書かれています。

Part3 は最後のおまけパートです。3つの章とおおよそ15ページで構成されています。今後鍛える上のヒント、練習と設問の回答例、この本で利用したフォント一覧が載っています。

サンプルデザイン

ノンデザイナーズ・デザインブックのサンプルデザインと教育的配慮がされた例1 Little Quizとサンプルデザインの一部。
引用できる範囲を考慮して、画像ではサンプルデザインが一部切れてるのはご理解ください。
  • サンプルデザインは豊富だが、基本英文です。雰囲気はTOEIC Part7
  • 英語アレルギーな方には難しいところもある
    • 英語アレルギーの方は他の日本人の書かれた定本も参考にすると良い

このようなサンプルデザインが多く載っています。名刺やパンフレットなどをみてるとTOEICのPart7を思い出す方も多いでしょう。

もっとも、TOEIC Part7で使わてるチラシ問題を見てるとこの本では悪い例として扱われるものばかりかもしれないという感想を持ちました。

TOEICを引き合いに出したようにサンプルデザインは原著が英文の本ということもあって、サンプルデザインも英語で構成されています。

基本的にサンプルデザインの英文内容は読む必要はなく、デザインの構成の理解に問題はありません。

しかし、4つの基本原則で特に近接に関するものは似た要素と違った要素を分けて考える部分があるので、英文を理解できると理解の助けになります。

この部分は翻訳書の限界なのだろう。英語アレルギーがある方にとっては読書を挫折する原因になる可能性ありと判断しています。

その場合は、日本語でのデザイン入門書も定評があるものがあるのでそちらと併用することで理解の助けになるかもしれません。例えば、なるほどデザインデザイン入門教室です(本のリンクはアマゾン)。

そのような事情もあって、英語アレルギーがある方にはこれ一冊のみという形のおすすめはしづらいです。

教育的配慮

ノンデザイナーズ・デザインブックのサンプルデザインと教育的配慮がされた例2 サンプルデザイン、デザイナーの目を鍛えるの設問、利用フォントの表示
  • 教育的配慮が定本として購入価値を高めてる
  • デザインセンスを鍛える構成になってる

この本は教科書だけあって、細かな教育的配慮がされています。上記の写真を見ればわかるように、サンプルデザインを載せてるだけではないです。

良いサンプルデザインと悪いサンプルデザインを引き合いに出している。2つの写真で示したようにデザイナーの目を鍛える囲み設問やクイズが設けられている。

もちろん、それらの回答例付きです。そして、利用フォントの情報も公開されています。

その他

  • 教科書調です。硬い本を読めない、活字を読めない方が学ぶのは難しいかも
  • 翻訳は高品位とは言えないが前後を理解できれば大丈夫

翻訳はアマゾンレビューでも、良くないことが書かれていますが、文脈の前後を理解した上で訳語を選択していないと感じるところがたまにあります。

高品位翻訳とは言い切れないが、全く理解できないような翻訳ではないです。前後の文脈を理解できれば気にならない程度です。

辞書的な日本語の意味をそのまま当てはめたようなところが不自然で直訳調になってるところちょっとだけあるし、疑問に思ったことがある。

理解しづらい文章に出会ったら、その文章の前後の内容から理解し直すと助けになります。

基本的に教科書です。文体はかためのものになるのは当然なので、マンガ本てきな軽さや、内容の薄い本のようなわかりやすさは期待しないほうがいいです。

ソフトカバーで紙質はしっかりしたカラー印刷です。長く手元においても大丈夫なようになってる。

まとめ

要約すると次のようになります。


優れた点

  • デザインに関して最初に読むべき定本として知られてる
  • 第4版の日本語版で、この本は20年以上売れ続けてる
  • デザインの四原則(近接整列、​反復コントラスト)の丁寧な解説
  • タイポグラフィについても細かく説明されている
  • 豊富なサンプルデザイン
  • 教育的配慮が行き届いた説明と設題
  • 日本語版は日本人向けに和文サンプルデザインを含んだ内容の補足がある

悩む点

  • 原著が英文なために、サンプルデザインも英語
  • 翻訳が決して優れてるとは言えない
  • 教科書調なのでマンガを使うような噛み砕いた優しい本ではない

箇条書きで上記のようにまとめました。長く売れ続けて、多くのデザイナーさんがすすめるような定本だけあります。購入して失敗したと感じることはないでしょう。

本の全体の1/3を占めている「4つの基本原則」はこの本の一番のキモです。多くの記事で説明されているとおりです。多くのところで説明されてるからこの記事では割愛する代わりに、記事のデザインを4つの基本原則にほぼ則るように書いております。

同時に色やタイポグラフィへの理解と教育的配慮が行き届いてる点がよりデザインセンスを鍛えるための本になっていると感じました。

デザインの基本的なことをしっかり学びたいと思われる方は最後まで読み通して設問を繰り返し答えていけば力はつく。

サンプルデザインは英語のものが中心なのは翻訳書なので仕方がないです。そのためにおそらく意識して、翻訳者たちは日本語のデザインに関する補足をつけています。

翻訳の質は高品位とは書かないが、中身を理解するのには十分なものです。

デザインサンプルがほぼ英語のみということもありますから、英語が苦手な方へはこれ一冊というお薦めはできないです。

特に英語アレルギーな方には日本人デザイナーが書いた他の定評あるデザイン入門書を併用するほうがより理解が進むと思います。

日本語補足そんなに多くのページを割いていないので、並行して日本のデザイナーの書いた本も併用すると、特に英語が苦手な方にとって見れば理解の助けになるでしょう。

基本情報・販売先

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]
Robin Williams (著),
米谷 テツヤ (監修, 翻訳)
小原 司 (監修, 翻訳)
吉川 典秀 (翻訳)
2016/6/30


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最終更新日 : 2021-07-14