ポータブルPCMレコーダZOOM H1nを外部マイクとしてiOS(iPhoneでも可能)から音声配信をする方法を徹底解説する。単体レコーダーとして利用したときの設定方法の説明も兼ねています。
H1nを使った音声配信はメリットも多いです。たとえば、iPhoneやiPadのバッテリを消費せずに、内臓の電池で高質な外部マイクとして使えるという点です。
メリットを活かしつつ、きれいな配信を行うためのノウハウも紹介しておきます。いくつかの取り扱いに注意すればどこでも十分に高品質なPODCASTの収録までできます。
以下のものはH1n+iPadで音声配信を作成した例です。
H1nでiPhone,iPadで音声配信するメリット・デメリット
特徴は次のようになります。
- iPhone/iPad内蔵バッテリをほぼ消費しない
- H1nだけで録音できる
- どこでも内蔵マイクより1,2ランク上の音声配信の質になる
- 荷物が増える
デメリット
iPhone/iPadのみより、レコーダーH1nの分荷物が増える。
H1nとiPhone/iPad接続にはライトニングポートのものには Lightning to USB Camera Adapter が必要になります。
私はiPad air 4thにUSB Cのハブ(電源入力ポート付き)を付けて利用しています。
それとミニ三脚があったほうがいい。私はH1nを筆箱にスポンジで軽くくるんでまとめてます。
だから、必要なものは、
- H1n本体
- Lightning to USB Camera Adapter あるいはUSBハブ
- USBケーブル(H1nの接続口はmicroUSB)
- ミニ三脚
この4つになります。本体だけなら筆箱に入るくらいのコンパクトなものですが、ミニ三脚とアダプター、ケーブルの分荷物が増えると考えてください。
あとはオプションとして単4電池の予備、SDカード、ウインドウジャマーかな。
メリット
メリットはバッテリが別だということ。iOSで音声配信で外部マイクを検討されてる方は多いと思うのですが、バッテリ内蔵されていないマイクは基本的に当然iPhone/iPad本体からの電源供給になります。
H1nはUSBインターフェイス付きのリニアPCMレコーダーということもあって、バッテリは単4電池2本で動作します。iPhone/iPadからの電源供給が不要だということです。
その結果、iOS機器のバッテリー消費の影響はあまりないってことです。これは最大のメリットですね。
出張先ホテルでもどこでも音質も担保できながら音声配信ができるってことです。
更に上位のPCMレコーダーは例えば、より高価なZOOM H6nなどあります。もちろん音質はマイク性能とともに向上しますが、機材もその分大きくなります。
音質と携帯性はトレード・オフの関係ですから、究極の音質を目指さなくても内蔵マイクよりH1n経由の配信ははるかに聞きやすくなります。
値段もiOS用の外部マイクと対して変わらないから。意外と選択肢に入ってこないのは多くの方への認知不足からだと思ってます。
ZOOM H1n の使い方 及び 簡易 レビュー
この製品の外見はアイキャッチ画像のままですが、個々の部分を少し説明します。H1nの機能の説明は単体レコーダーとして使う場合でも理解できる内容にしています。
説明書・ファームウエア・販売先
特に公式サポートページにある取扱説明書は読んでおくと良いです。また、ファームウエアのもこちらで更新されます。
表示パネル
液晶の見え味は右の左の写真のようになります。液晶の下の4つの白抜き文字のパートは右の写真の直下にあるボタンに対応しています。
- 96k 24bit の部分 : 録音の質を表しています。AUDIO直下のボタンで切り替えができる
- 120Hz の部分 : ローカット(ハイパス)フィルタ。ここでは120Hz以下の重低音をカット
- ON の部分 : リミッタのオンオフ。マイクへの大きな音声が入るときの予防処置。超過するによる音割れを防ぐ。
- OFF の部分 : オートレベルのオンオフ。音声収録ではオフにしてください。
ローカットフィルタとリミッタ、オートレベルの使い方
ローカットはモーター音の録音を抑制するのに効果的です。
H1nでは80Hz以下と120Hz以下、つかわないという選択がありますが、PCや空調などのモーター音が気になる場合は邪魔なノイズを減らすことに繋がります。
野外でも、遠くの車の音や農作業などの機材のモーター音などを効果的に消してくれます。経験上ローカットフィルタは特に遠くから出てくる重低音系のノイズの除去に効果が高いことが分かっています。
リミッタは録音レベルの上限の抑制です。マイクの入力が許容量以上の大きさになれば、音割れなど音質を著しく悪くするのです。そのことを極力抑えるためのものだと思ってください。
オートレベルはオンでは無音のときに録音レベルを上げる傾向があって、レベルが大きい録音レベルになるとノイズを拾いやすくなるからです。要するに扱いが難しくなる。
オートレベルを使うのなら、音の大きさが殆ど変わらないバックグラウンドノイズが多めの街角などでしょうね。
ポスト処理でも自動でノイズ除去が難しくなる。便利な場合はありますが、音声配信や音声収録のときはオフにしておくことがおすすめです。
マイク
マイク部分は上記のようになっています。音声配信で利用する場合は、オートレベルをオフにして写真のように8くらいで利用しています。
マイクと口の距離
- 顔の正面からやや下
- 口から30センチほどの距離
- 肘を使って距離を調整
大体30センチほどにすればいいです。この距離は、肘を伸ばしたときの肘先と口の距離位の感覚です。遠すぎず近すぎずが適切な距離はスイートスポットと呼ばれていますが、だいたいスイートスポットになります。
近すぎると、近接効果といって、コンデンサマイク特有の低音が強く出ることもあるし、顔とマイクの距離の少しの変化で録音レベルの大きさも変動が大きくなるって、聴者にとって聞きづらいことになるからです。
stand.fmなどの音声配信はモノラルで配信されるから、マイクは口から30センチほどに置ければどこでもよいになりますが、
基本的に顔の正面からやや下になります。机の上に三脚につけたH1nになると胸の高さくらいの高さから上斜めにマイクの正面(写真右)を口元に向けます。
真正面から30センチに置かない理由は、吐息を拾わないように注意するためです。こうすることでほぼウインドウジャマーは必要なくなります。
H1nを野外で使うときはウインドウジャマーあるいはもふもふは必須になります。風切り音は相当抑制するからです。
録音レベルの調整
写真で示したように、録音入力レベルはおおよそ8/10にしています。
入力レベルの決め方は、テストで発声してるときに写真右側のレベルメータで-12dB から -6dB の間に来るように調整します。
0dBを超えると音割れの原因になります。もちろん、リミッターONで音割れは防げるが、大きな音でも0dBを超えないことは意識してください。
これが大きければ、部屋内の残響音は拾いやすくなるし、ノイズレベルも上がります。程よい大きさ(8/10) 程よい距離(30cmほど)がスイートスポット=最適なのです。
バッテリー
ニッケル水素電池を使えますが、注意点があります。利用時はシステム設定で電池の項目から、ニッケル水素を選択します。詳しくは設定についてはオペレーションマニュアルの50ページを参考にしてください。
設定で変更が必要なのは電池残量を正確に表示するからです。それ以上のことはマニュアルには書かれていない。
その他
ポッドキャスト・音声配信は基本的にモノラルでOKなので、ステレオのことは触れていません。
この1万円ほどのレコーダーでも野外でのステレオ録音は立体感はそれなりにありますが、今回は詳しいことは書きません。
iOS機器とZOOM H1nの接続
H1nはiOSだけじゃなくてWindows/Macそして、多分Linuxでもドライバ不要のオーディオインターフェイスになります。
その意味はH1nとiOSをUSBケーブルで接続すれば、そのまま外部マイクになるのです。
接続時の手順を紹介します。
- 接続は写真左のように、つなげると良いです。iPhoneならこれがライトニングアダプタに変わります。
- H1nの電源をONにすると、H1nはオーディオI/Fとカードリーダーの選択画面になります。オーディオI/Fを選びます。
- PC/Mac か iOSの選択画面になります。iOSを選択します。
- 写真左のUSBケーブルを一旦抜いてくださいと表示が出ますから、抜きます。
- ケーブルを接続してUSB AUDIO I/Fとレベルメーターが出てくれば接続成功です。
私の方では、音声メモアプリとスタンドFMのアプリで動作確認はしています。接続後は内蔵マイクと同じ使い方でよいです。
その後はマイクの最初の方に書いたようなマイクの調整をすれば設定完了です。
まとめ
最終更新日 : 2021-07-14
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